逆腹式呼吸法の基礎知識(効果と方法)
呼吸法と聞いて多くの人が思い浮かべるものに、腹式呼吸があります。通常、腹式呼吸と言えば順式の腹式呼吸法のことを言いますが、腹式呼吸とは逆に、息を吐くときにお腹を膨らませ、吸うときにお腹を引っ込める逆腹式呼吸法というものがあります。
逆腹式呼吸法で得られる効果とは
逆腹式呼吸法は、息を吸う際にお腹を引っ込めるため、順式の腹式呼吸に比べても腹圧(腹腔内の圧力)が上昇します。順式に比べると、内臓やお腹や背骨まわりの筋肉群をより積極的に動かす呼吸法と言えます。そのため、内臓やインナーマッスルの活性化により強く効果が出ると言えます。また、下腹部(丹田、肚)への意識の集中がより強く求められる呼吸法のため、精神の集中にも効果を強く発揮します。武道や座禅などに多く取り入れられているのは、そのためだと考えられます。 また上記以外にも、その他の呼吸法でも得られる「副交感神経の働きが活性化される」という効果ももちろん期待できます。
⇒1. 副交感神経の働きが活性化される
⇒2. 副交感神経が働くと筋肉がほぐれる(ゆるむ)
⇒3. 筋肉がほぐれると、筋肉の中を通る血液、リンパ、神経の流れがよくなる
⇒4.血液やリンパの流れが良くなると、代謝や消化の改善に繋がる
神経の流れが良くなると、身体の痛みやコリ、しびれの改善に繋がる
上記の段階を経て、心身のリラックス、疲労の軽減、肩こりや腰痛の軽減、冷え性の軽減、睡眠改善、便秘解消などの効果に繋がります。また、副交感神経が活性化されることで、交感神経が優位になりがちな現代人の自律神経バランスを整えることに繋がります。自律神経のバランスの崩れは、様々な体調不良や病気のもとになります。自律神経がバランスよく機能することで、様々な体調不良や病気が改善されます。
なお、逆腹式呼吸は交感神経を刺激するという言説も見られます。先ほど述べたように、逆式は順式に比べ腹圧を高くかける事に重点を置きます。その際に、腹腔内にある太陽神経叢(交感神経の集まり)がより強く刺激されることが考えられます。覚醒/活動を支配する交感神経の活性化は、逆腹式呼吸が武道で多く使われることとも整合します。座禅やヨガでも逆式を使うケースがありますが、その場合はただリラックスするだけでなく、より積極的な身体/精神のコントロールを目的としていることが多いようです。
逆腹式呼吸法の行い方
順式の腹式呼吸法は、息を吐くときにお腹をひっこめて、息を吸うときにお腹を膨らますように意識して行う呼吸法でした。逆式は、その逆で、息を吐くときにお腹を膨らませ、吸うときにお腹を引っ込めます。腹式呼吸法に比べると、やや難しいかもしれません。- 椅子などに腰掛けてリラックスした姿勢をとります。
- 肺の中の空気を出し切るイメージで、息を吐ききります。その際には、体の力を抜いてリラックスします。
- 息を吐ききったら、ゆっくりと鼻から息を吸います。その際に、肛門から締め上げるようなイメージでお腹をへこませます。
- 息を吸いきったら、静かにゆっくりと息を吐いてゆきます(口からでも鼻からでも構いません)。その際に、絞り込んだお腹と肛門を緩めてリラックスします(へこましたお腹が膨らみます)。
これを30回程度繰り返します。慣れれば回数を多くしても構いません。就寝前などに行うと決めて、きっちりと習慣化することが大事です。
以上が、基本的な逆腹式呼吸法です。当サイトでは、動画レクチャーなども参照しながら、今後もより分かりやすい解説を紹介してゆきたいと思います。
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